プレコンセプションケアとは

リウマチ治療医に確認すること

Q8 妊活を開始する場合、どのように関節リウマチの治療を進めるのでしょうか?

  • 妊娠時に使用可能な治療薬に切り替えてから妊活を開始します。

妊娠時に使用可能な治療薬への切り替え

妊娠を希望する場合は、薬物療法によって関節リウマチの疾患活動性が”寛解”または”低疾患活動性”で一定期間維持された状態で、妊娠中に服用可能な治療薬に切り替えていきます。
妊娠期間中の使用が禁忌のお薬を服用している場合は、お薬ごとに一定期間(ウォッシュアウト期)を開けてから妊活を開始します。

また、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は妊娠後期(28週以降)は使用できませんので、まずはしっかりとしたリウマチの根本的治療で寛解または低疾患活動性を目指しましょう。使用する際には、主治医に相談してください。

生物学的製剤は必要に応じて妊娠後期まで使用が可能ですが、より胎盤通過性の少ない生物学的製剤の方が適しているとされます。また、妊娠後期に使用した場合、乳児へ移行する場合がありますので、生後6ヶ月以内の乳児の生ワクチン投与は控えます。BCGワクチンは6カ月以降に投与しましょう。
なお、妊娠中の薬物治療による児への影響を心配して、患者さんの自己判断で服薬を中断してしまう場合もありますが、医師や薬剤師は、安全性が十分に確認されたお薬を選択します。不安な場合は主治医に十分に相談し、自己判断はしないようにしてください。

服薬しているお薬で心配がある場合は、各都道府県に設置されている妊娠と薬情報センターで、薬剤が妊娠や胎児に与える影響について相談することができます。詳しくは、ホームページをご覧ください。

妊娠経過と薬の影響

妊娠経過と薬の影響 妊娠経過と薬の影響
  • 妊娠~4週ごろまで:All or noneの時期
    影響が大きければ流産、小さければ修復。形態異常の可能性はないと考えられている
  • 妊娠4~11週ごろ:催奇形性に注意しなければならない時期
    骨格や器官ができる時期
    * 10~11週は小さい形態異常の可能性
  • 妊娠12週以降:胎児毒性に注意しなければならない時期
    胎盤を移行する低分子化合物やIgG製剤は高濃度で移行する

村島温子: 周産期医学 2020; 50(増刊号): 2-5 より作成

【解説】 薬剤の胎児への影響とベースラインリスク1)

胎児の先天異常は妊娠中の薬剤使用と関係なく起こりうるもので、それを「ベースラインリスク」といいます。自然流産は年齢とともに増加しますし、先天奇形の半数以上は原因不明で、薬剤に関連したものは1%程度とわずかであるという報告もあります。
医師は妊娠中でも影響が少ないと言われているお薬に切り替えて関節リウマチの治療を進めていきますが、様々な可能性があることは知っておいてください。

1)
村島温子: 周産期医学 2020; 50(増刊号): 2-5

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