関節リウマチと診断されたら

リウマチ治療医に確認すること

Q1 関節リウマチと診断されました。この先どうすればよいか不安です。

  • リウマチという病気とあなたの体の特徴を知り、医師とともに治療を考えていきましょう。

医師とともに治療を考える「シェアード・ディシジョン・メーキング」

あなたは、「関節リウマチ」と診断され、これからどうなるのか不安も大きいと思います。
関節リウマチとは、自分の免疫が、自分の関節組織に作用して炎症を引き起こしてしまう病気です。つまり、あなたの免疫細胞が「働きすぎている」状態です。関節リウマチが発症する原因やメカニズムはいまだに明らかになっていません。現在のところ、もともと関節リウマチになりやすい体質を持っていたり、たまたまなりやすい環境にいたりする人が、何らかのきっかけによって免疫異常を起こすのではないかと考えられています。

まずは、この「関節リウマチ」という病気の特徴や、どんな治療法があるのかを知っていただきたいと思います。治療はお薬が中心になりますが、お薬を選ぶ際に重要になるのは、患者さんの意向を踏まえて患者さんと医療従事者でともに治療方針を決める、「シェアード・ディシジョン・メーキング(SDM)」という考え方です。

具体的にどのようなことを医師に伝えればよいかについては、次の項目(Q2 治療計画)で触れていきます。

関節リウマチという病気があることは、あなたの体の特徴を理解するためのきっかけの1つであるととらえて、医師や看護師とともに前向きに治療に取り組んでいきましょう。

Q2 関節リウマチの治療では、医師と何を話し合えばよいのでしょうか?

  • 関節リウマチ治療を進めるうえで、あなたのライフプランの希望を伝えることが大切です。

関節リウマチの治療とライフプラン

関節リウマチは発症後早期から関節破壊が徐々に進行するため、速やかに治療を開始することが重要です。
さらに、関節リウマチは、長期にわたる治療が必要な病気で、若い患者さんにとっては治療をしながら多くのライフイベント(進学、就職、結婚、妊娠、出産、育児など)を迎えることになります。そのため、どのような治療方法があなたにとって最適かを考えるために、あなたのライフプランを伝え、主治医と共有することが大切です。

特に、女性にとって、妊娠や出産は、大きな体の変化を伴いますが、関節リウマチの病状が安定しない状況での妊娠や出産には様々なリスクが生じます。一方で、生物学的製剤などの治療薬の進歩によって、疾患が十分にコントロールされている場合には、安全な妊娠や出産が可能であることがわかっています。

ですから、学業や仕事の状況、さらには子どもを持ちたいか、持たなくてもよいか、子どもが欲しいとしたら、それはいつ頃なのか、などのあなたの希望をリウマチ治療医に積極的に伝えてください。その希望に基づいて、どのようなステップで関節リウマチを治療し、疾患活動性をコントロールした状態で計画的に妊娠するかなどを、医師と率直に話し合ってください。

避妊の大切さ

子どもを持ちたいと考えている場合でも、疾患活動性が安定するまでは、きちんと避妊することが大切です。また、今のところ妊娠を希望していない方も、あなたの体を守るためにも確実に避妊することが大切です。
日本では、より確実な避妊方法の知識が十分に浸透していないため、関節リウマチなどリウマチ性疾患を有する患者さんの妊娠のうち、約半数は「予定外の妊娠」であることがわかっています1)

あなたに合った避妊方法を知るため、あるいは今後妊娠を希望するときのために、妊娠希望の有無にかかわらず、ぜひこの機会に、女性関節リウマチ患者さんのプレコンセプションケアについて相談できる産婦人科医を作ってください。女性関節リウマチ患者さんの治療では、リウマチ治療医と産婦人科医の協力がとても大切です。

(⇒Q4産婦人科医の受診 参照)

感染症の確認

関節リウマチの治療薬のなかには免疫作用を抑える薬がありますので、感染症には注意が必要です。また、関節リウマチの治療中の生ワクチンの予防接種(風疹)は避けなければなりませんので、予防接種の状況についても確認します。

高血圧、糖尿病などの確認

また、高血圧、糖尿病、甲状腺疾患などは、妊娠・出産の際に影響を及ぼす合併症になりますので、それらの合併症の有無を確認します。そのほか、喫煙・飲酒などの生活習慣についても、妊娠に向けて改善していくことを話し合います。

1)
Tsuda S, et al: Mod Rheumatol 2020;30:852-61

Q4 妊娠・出産の希望がなくても産婦人科の受診は必要でしょうか?

  • 妊娠・出産の希望の有無にかかわらず、自分の体の状態を知る、自分に適した避妊法を知る、または今後妊娠を考える場合の注意点を知るためにも、産婦人科医を受診することをお勧めします。

産婦人科医の受診

リウマチ治療医とは、あなたのライフプランに基づいて、関節リウマチの治療計画を立てていきますが、女性の体調や、妊娠・出産に関するライフプランの相談は、やはり産婦人科医によるアドバイスが効果的です。
また、今のところ妊娠・出産の希望がない方も、きちんとした避妊方法を知るためや、今後妊娠を希望する場合の注意点を知るために、産婦人科医と相談することが大切になります。自分の体を理解するうえでも、産婦人科医の受診をお勧めします。

「女性関節リウマチ患者さんのヘルスケア手帳」の活用

リウマチ治療医と産婦人科医では、患者さんの関節リウマチの状態や治療状況について、相互に共有することが大切になります。
そのため、この冊子を監修している「RA-PCC普及委員会」では、女性関節リウマチ患者さん向けの手帳を作成していますので、主治医にご相談ください。また、こちらの二次元コードでPDFを入手いただけます。

「女性リウマチ患者さんのヘルスケア手帳」の活用

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