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妊娠・出産・育児

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医師と話しておくべきこと

医師

関節リウマチ患者さんの安産のためには、妊娠前から医師とよく話し合い、治療法を選択する「SDM(Shared decision making)」の考え方が非常に重要です

SDMは、日本語では「協働的意思決定」と訳され、「治療法を選択する際に、患者さんと医師が情報を共有しながら、協力して治療に関する方針を決定すること」を意味します。関節リウマチ患者さんの妊娠・出産においては、このSDMの考え方に基づいて治療を決定することが大切です。
まず、妊娠するまでに、今の関節リウマチの状態で妊娠してもよいかを医師へ相談しておく必要があります。妊娠を希望する場合は、その旨を医師に伝え、今後の治療法について話し合ってみましょう。

薬剤が妊娠や赤ちゃんへ与える影響については、各都道府県に設置されている妊娠と薬情報センターでも相談することができます。詳しくは、ホームページをご覧ください。

妊娠と薬情報センター 
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/

Q 関節リウマチの治療薬は、赤ちゃんに影響を与えますか?

A 治療薬のなかには、赤ちゃんへの影響があり妊娠前から休薬が必要なものもあります

一部の関節リウマチの治療薬は、流産の危険性を高めたり、おなかの赤ちゃんの発育に影響を与えたりするおそれがあり、妊娠前の休薬・中止が必要なものがあります。一方で、ステロイドや一部の生物学的製剤では妊娠中に使用できるものもあります。
医師は、患者さんの状態と赤ちゃんへの影響を考えながら治療薬の中止・変更を決定します。赤ちゃんへの影響が不安になっても、自己判断で治療薬を中断せず、必ず医師や看護師にご相談ください。

岡本紀代香 整形外科看護 2020; 25(9): 890-893.
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業): 「関節リウマチ(RA)や炎症性腸疾患(IBD)
罹患女性患者の妊娠、出産を考えた治療指針の作成」 研究班: 全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、
若年性特発性関節炎(JIA)や炎症性腸疾患(IBD)罹患女性患者の妊娠、出産を考えた治療指針, 平成30年(2018年)3月
https://ra-ibd-sle-pregnancy.org/data/sisin201803.pdf

Q 関節リウマチの治療薬は、授乳に影響を与えますか?

A 母乳育児ができるかどうかは服用する薬の種類と量で異なるため、医師に相談しましょう

授乳をしないように勧められている薬剤もありますが、ステロイド(一定用量以下)や生物学的製剤など、授乳中も使用できる治療薬はあります。
母乳育児を希望する場合は、医師・看護師にご相談ください。

金子佳代子 リウマチ科 2020; 64(1): 76-81.
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業): 「関節リウマチ(RA)や炎症性腸疾患(IBD)
罹患女性患者の妊娠、出産を考えた治療指針の作成」 研究班: 全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、
若年性特発性関節炎(JIA)や炎症性腸疾患(IBD)罹患女性患者の妊娠、出産を考えた治療指針, 平成30年(2018年)3月
https://ra-ibd-sle-pregnancy.org/data/sisin201803.pdf

Q 妊娠を希望する場合、相談先はリウマチ科?産婦人科?

A リウマチ科の主治医と、産婦人科の医師の両方からサポートを受けられる環境が理想です

関節リウマチ患者さんにとって、妊娠はすべて「計画妊娠」であることが望まれます。また、妊娠期間~産後はリウマチ科と産婦人科の両方を定期受診して、関節リウマチの状態はリウマチ科に、赤ちゃんの発育や妊娠経過は産婦人科にチェックしてもらう必要があります。
妊娠を希望する際に、まず相談するのはリウマチ科の主治医である場合が多いと考えられますが、リウマチ科と産婦人科の連携のもと、どちらからもサポートを受けられるような施設を選ぶことが大切です。

橋本博史監修 改訂新版 図解 膠原病がよくわかる最新治療と正しい知識 2018; 日東書院, 170-171.

JP-N-CZ-RA-2100071